2023.07.18

「脱・管理」で自主性を促し、
選手が自ら成長するチーム。

創業者の「地元に恩返しと社会貢献をしたい」という熱い想いから2019年4月に創部された「ダイソー女子駅伝部」。
4月29日に日本グランプリシリーズ・広島大会として開催された『第56回織田幹雄記念国際陸上競技大会』を終え、その結果と共に、女子駅伝部の取り組みや特徴などをコーチ、マネージャーに伺いました。

自律自考を促す
選手に考えさせる指導法。

大会を振り返って、まずは率直な感想を聞かせてください。

コーチ)
4月29日に広島広域公園陸上競技場で行われた『第56回織田幹雄記念国際陸上競技大会』は、日本グランプリシリーズという、陸上競技の中でも大きな大会の一つです。
まずはシーズンの大切な序盤を問題なく迎えることができたことに安堵しています。ですが、当日は悪天候だったこともあり、大変な大会でもあったというのが正直な感想です。

マネージャー)
そうですね。大会当日は、激しい雨や強い風による悪天候だったんです。
有力選手の欠場や、競技によっては一時中断する事態になっていました。
普段の練習通りにいかなかった面もありますが、そんな厳しいコンディションの中でも、きちんと力を出し切ったダイソー女子駅伝部の選手たちのすごさに心躍らせられました。

そんな悪天候の中、結果はどうだったのでしょうか。

コーチ)
特にすごかったのは、女子5000mで大会新記録を出したテレシア(ケニア出身)ですね。最後は独走状態でした。
日本グランプリシリーズは、世界的にも認められるカテゴリーに入る大きな大会です。
トラックシーズンの序盤の大会で、まずはやりきれたことが大きいです。他の選手のタイムも悪くないので、結果だけでなく各自が今の状態を把握することができ、今後のシーズンをプラスに変えていくにはどうすればいいかが見えてきたと思います。
今シーズンを占う意味でも大きな収穫がある大会でしたね。

●ダイソー女子駅伝部 第56回織田幹雄記念国際陸上競技大会の結果(一部抜粋)

選手名種目順位タイム
テレシア・ムッソーニ女子5000mB決勝 1着(大会新記録)15’03″84
ムワンギ・レベッカ女子5000mB決勝 3着15’43”25

今後、注目の選手などはいますか。

コーチ)
今年は世界選手権もありますから、外国籍の選手で言えば、昨年も結果を残しているテレシアは、昨年以上にも増して力が付いてきた印象です。
また、今年は新人が4名入ってきたのですが、中でもT.Sは、5000mで一番良いタイムを持っています。そんな新しい選手が頑張ってくれると、2~3年目の中堅層にも良い刺激を与えてくれるのではないかと思っています。
私たちのチームは相乗効果が得やすい環境ですからね。

マネージャー)
注目してほしい選手はたくさんいますから、ダイソー女子駅伝部全体に注目して欲しいです。私たちのチームは創部から4年目ということもあり、選手たちの世代間ギャップが大きくありません。
だからコーチが言うように選手同士の相乗効果が得やすいと感じています。言いたいことが言いやすく、仲間の意見も素直に聞きやすいんです。監督の指導方針が他の実業団チームと違うことも大きく影響しているかもしれません。

他とは違う、ダイソー女子駅伝部の指導方針とは?

コーチ)
私たちのチームは「脱・管理」を掲げているのですが、何もかも指導陣が決めるのではなく、選手に様々な選択肢を持たせています。
例えば、練習メニューも選手が自分で選べますし、どの種目に出場するかも選手が選ぶことができるんです。
まずは選手自身に考えさせ、気付かせることを大切にしています。私たちコーチやマネージャーは、その選手の考えを尊重してサポート役になります。この指導陣と選手との関係性は、なかなか珍しいと思います。

マネージャー)
この方針は、監督の考え方に基づいています。男女合わせて計6度の高校チャンピオンに導いた名将なのですが、この考えは、高校生を指導していた影響もあるのかもしれません。
高校の部活動は、人格形成にも大きく影響しますから。選手を、1人の人として支えてきたことが影響しているのではないでしょうか。

大創産業が掲げる、「自律自考」の精神にも通じますね。

コーチ)
そうですね。もちろん、選手に選択肢を持たせると言っても、放任ではありません。
監督・コーチ・マネージャーだけでなく、チームのリーダーとも連携して、抑えるところを抑え、必要に応じて導く。選手の年齢が近くて関係性が良好なチームなので、規律と自主性のバランスが取りやすいと感じています。

マネージャー)
私は普段、選手に言いすぎないことを心がけているんです。
まずは選手に考えてもらって、それから必要なサポートを行う。もちろん、悩んでいる選手がいれば、「どうしたい?」と声を掛けますが、選手が考えることをストップしてしまわないよう、過干渉にならないようにします。
ダイソー女子駅伝部は、選手の自律が第一なんです。

スポーツの裾野を広げて、
地域社会にも貢献する。

ダイソー女子駅伝部の特徴は他にもありますか。

コーチ)
今回の大会は、実は2部構成だったんです。第1部が地元の子どもたちと選手の触れ合いのイベントで、2部が大会競技でした。
第1部のイベントは、S社とも共同で行いました。創部のきっかけでもある大創産業の創業者の「地元に恩返しと社会貢献をしたい」という想いから、ダイソー女子駅伝部はスポーツ交流イベントも積極的に行っているんですよ。

マネージャー)
今回は悪天候という不慮の事態がありましたので、本来使用するはずだった陸上トラックが使えなくなるなど、予定していたプログラムが全てできませんでした。
急遽、屋内で実施したのですが、逆に子どもたちとの距離感が近くなり、とても盛り上がるイベントになりましたよね!
もちろん、感染症予防対策は徹底して行いました。

交流イベントとはどのようなものですか。

コーチ)
本来であれば、競技大会で使用する400mトラックで、実際に選手と競争するものなど、本物の競技の魅力に触れてもらうコンテンツがある“選手と一緒に楽しめるイベント”です。
今回は悪天候で屋外が使えなかったので、屋内でできるトレーニングを一緒に行い、その他には選手への質問コーナーなど、悪天候の中でも楽しんでできることを行いました。

マネージャー)
小学生の子どもたちが対象なので、選手への質問も微笑ましいものが多くて、私もほっこりしました。
あるお子さんが、選手に「走るのが嫌いになったことはありますか?」と問いかけると、「好きな食べ物は何ですか?」と質問するお子さんもいて。アットホームな雰囲気の中でも時々笑いが起こるなど、予想以上に盛り上がりました。

子どもたちにはどんなことを伝えているのですか。

コーチ)
イベントに参加した選手の中には世界レベルの選手もいて、例えばS社のY選手(オリンピックメダリスト)は広島県出身です。
自分の住んでいる地域から出た世界レベルの選手と触れ合うことで、より世界を身近に感じることができるし、「自分にもできる」と思ってもらえると思います。
私も同じ広島県出身者として、楽しめました。

マネージャー)
まずは陸上競技の楽しさを知ってほしいです。
そして、陸上競技人口がどんどん増えていき、地域が盛り上がれば素敵ですよね。それが、私たちができる地域社会への貢献なのだと思います。
主にチームの活動拠点である広島を中心に、子どもたちにスポーツの魅力を伝える活動の一環としてスポーツ交流イベントを行っていますが、機会があれば色々な地域でもイベントを行ってみたいですね。

チームの相乗効果で
前年以上の結果を残す。

今期の目標を教えてください。

コーチ)
プリンセス駅伝やクイーンズ駅伝など、目指すべき大会は色々ありますが、それらで前年以上の成績を残せるようにしたいですね。
ダイソー女子駅伝部は、「結果が出なければ切り捨てる」ということは行わないので、チームの意識も芽生えやすい環境でもあります。
先ほども言ったように相乗効果が生まれやすいので、当たり前のことを当たり前にやっていけば、チームとしての結果も付いてくると思います。

マネージャー)
創部間もないといっても、施設面や管理栄養士の常駐など、サポート面も充実しています。それだけ会社が本腰を入れて女子駅伝部の活動を支援してくれているからだと思います。
選手は週に2回の午前中だけ本部や近隣店舗での業務を行っているのですが、社員さんやアルバイトさんから「一緒に写真を撮って」と声を掛けられることもあるほど、みなさん私たちの活動に期待してくれています。その期待に応えたいですね。

ダイソー女子駅伝部に対するお2人の想いを聞かせてください。

コーチ)
私は、縁あって創部の準備期間から携わっています。
誰もが知る「ダイソー」の駅伝部の創設から携わることができるチャンスなんてそうそうありません。
今でもダイソー女子駅伝部の活動に専念させてもらっているので、選手が自ら考え、結果が出せるようにサポートを続けます。まずは大創産業の全社員さんから「駅伝部があって良かった」と思ってもらえるようにしていきたいですね。

マネージャー)
ダイソー女子駅伝部は創部間もないこともあり、若くてフレッシュで、気持ちが真っすぐな選手が多いんです。そんな選手たちがより良い結果を出せるように精一杯のサポートをしていきます。
そして、まずは広島の子どもたちに「陸上競技っていいな」と思ってもらえるようにしたいです。

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