2022.07.29

サスティナブルな商品が
誕生していく背景とは

間伐材を有効活用するだけではなく、素材のバックグラウンドを知り、如何に消費者に伝えていくのか。Standard Productsの立ち上げメンバーであるTさんにサスティナブルな商品を紹介していただきながら、環境問題についての取り組みや今後の展開を伺いました。

商品本部次長 T・Sさん
300円SHOPの「CouCou」の立ち上げ段階から携わり、2020年に大創産業に転籍。「THREEPPY」の商品部で活躍した後、新業態「Standard Products」の立ち上げメンバーとして、商品開発をメインに、ブランディングなどにも携わる。雑貨に関わること25年以上のその道のプロフェッショナル。

素材のバックグラウンドを
如何にして伝えるか

「Standard Products」の立ち上げから携わられていたとのことですが

大創産業本体の規模感もあり、品質管理が厳しく、最初は苦労しました。特に新しいことをするとなると、基準から何から全て作って行かなければなりませんでしたからね。
使う材質についてはもちろん、環境配慮に関しても、品質管理部と手探り状態の中、一緒に進めていきました。100円の業界で間伐材を使うことはなかなかありませんし、国産の木材を使うのは大創産業としても、初めての試みだったので、スタートまでには時間がかかりましたね。

やはり立ち上げからとなると苦労も多かったのですね。

Standard Productsのブランドとしては、環境配慮もしながら、国産の産業を盛り上げていこうということから始まりました。その中で間伐材を使おうとなった時には、同時に林業を深掘りしていくことから始めました。なぜ深掘りから始めたかと言うと、「間伐材」という言葉自体がお客様に伝わるかどうか未知数だったからです。
どういう風にお客様に伝え、尚且つ、手に取っていただけるか、というとことは一番苦労しましたね。

単純に開発するだけではなく、どう伝えるかということですか?

そうですね。お客様に商品のバックグラウンドが伝わるかどうかが、一番のポイントだと考えています。企業やブランドイメージはもちろんありますが、商品を開発していく上で、お客様に想いが伝わっていなければ意味がないんです。
尚且つ、商品を通して、環境問題について身近に感じてもらえると一番良いなという思いもあります。環境に配慮した商品を使ってもらうことで、お客様たちも「こんな風に環境に貢献ができてるんだ」と理解してもらえることが大切だと思います。だからこそ、如何に伝わりやすいように開発するかもポイントになってきます。

たしかにバックグラウンドを知ると印象も変わってきますね。

私たちは、“昔からあるもの”を改めてちゃんと伝えようということをやっているのかなと思います。
例えば、燕市のカトラリーや金物は昔からあって知名度も高いですが、Standard Productsで商品開発する上で、きちんと取材したら、「実はこんなに分業してカトラリーが生まれているんだ」という新たな発見があったりします。
そういった発見や面白さを、Standard Productsの商品を通してお客様に伝わると、興味を持っていただけると思いますし、日本産業の発展にも繋がっていくのではないかと思います。

間伐材の有効活用で
林業を活性化させる

サスティナブルな商品の中でも特にオススメはなんでしょうか?

一番好評な商品は、「ヒノキピュアエッセンシャルオイル」ですね。間伐材のヒノキを精油した国産のオイルになっています。
他にも、「福井県産サクラの箸、ヒノキの箸」、ウイスキー樽などを再利用した「スモークチップ」なども人気があります。これらは全て、国産のサクラや間伐材から作られた商品になります。

木材や間伐材などは、やはり国産のモノにこだわりがあるんですね。

実は、日本の国土の約2/3は森林に覆われています。都会に住んでいるとあまり知らないですよね。そして、一度、人間が手を入れた森は、そのまま手を入れ続けなければ死んでしまいます。
間伐するということは、森林の成長のためには必要なことでもあるんです。だからこそ、間伐材を有効活用することで、林業を盛り上げていくことにも繋がるんです。間伐をすると木の育ち方が全然変わってくるんですよ。

林業の未来にも間接的に貢献できるということですね。

林業に昔から携わっている方たちは、ひいおじいちゃんが植えた木を、今切っているんです。今手入れをしているのは、自分の息子や孫の世代のためなんです。
そういう繋いでいくというものが目に見えるというか…、今ではなく未来に向けて仕事をしているんです。そういうサイクルに関しても、私自身、取材をして初めて知りました。

多機能さを削り、
スタンダードを追求する

「大創産業本体」との商品開発の違いはあるのでしょうか?

大創産業本体の場合、男・女、年齢問わず、全ての方がターゲットになります。Standard Productsの場合は、オールターゲットではありますが、商品毎にターゲットを絞っています。
もっとわかりやすく言うと、大創産業本体では、「たくさん取り揃えた中から好きなものを選んでください」というスタイルですが、Standard Productsの場合は、「一番スタンダードでシンプルなものはコレです!」と提示するイメージです。
便利機能を上乗せしていくのではなく、多機能さを削り、スタンダードに落とし込んでいくのが、Standard Productsの商品開発だと考えています。

「Standard Products」の商品開発としての仕事の魅力はなんでしょうか。

この仕事は知らないことを調べていくことが多いので、勉強になります。お箸や鉛筆、包丁を日常的に使いますが、創り方や木の削り方までは知っている人は少ないと思います。
仕事を通じてそれを知ることができ、尚且つ、生産している現地に行かせていただける機会が多いので、自分の知識として、いろんなものが積み重なっていく仕事ではあるのかなと思います。調べたり、勉強したりする苦労は当然ありますが、好奇心や興味があると、どんどん世界が広がっていきます。

商品を更に深掘りできる仕事でもあるんですね。

そうですね。だからこそ、いろんなことに興味を持ってほしいと思います。興味がないと行動に移すことは難しいですからね。先程も言いましたが、特に、Standard Productsでは、シンプルでスタンダードな形になるまで、要素を削って商品を開発していきます。
だからこそ、モノを知ることから始めなければ話になりません。例えば、ピーラー一つにしても、網状のものもあればT字のものもあります。使い勝手が良いのはどの形なのか、何が一番スタンダードなのか。それは、自分自身が使ってみなければ絶対にわかりません。
「バイヤーは生活者であれ」と良く言うのは、そういった意味でもあります。知っているからこそ、いらない要素を削ることができるんです。

様々な展開を控え
前進していく

改めて商品開発をする上で、大切にされていることはなんでしょうか。

環境に配慮した商品を作ったら終わり、ではなく、如何にして身近な問題や素材のバックグラウンドをお客様に正しく伝えられるかどうか。繰り返しになりますが、この考え方がぶれてしまわないようにすることが大切です。
メディアの影響もあって、ある程度、間伐材について伝わってきているかもしれませんが、まだまだ店舗だけでは伝えきれていない部分があるので、そういったことは今後の課題ですね。

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